素敵な上司とキュートな部下

「ねえ、それって変じゃない? 桐谷さんと嶋田君の二人で行けばいいでしょ? どうして私に声を掛けるの?」


美由紀が大輔と花火を観に行きたいのは明らかで、だったら二人だけで行けばいい。そう加奈子は考えたのだが……


「出来れば私もそうしたいんですけど、それはうまく行かないと思うんです」

「なぜ?」

「だって、私見ちゃったんです。嶋田先輩が花火に誘われて、それを断っているのを。人混みは嫌いだからって……」

「あらま。誰から誘われたの?」

「文庫編集の子です。庶務をやってる……」

「ああ、あの子ね……」


その子の事は加奈子も知っていたが、若くて割と可愛い子だ。そんな子から誘われたら、普通の男なら鼻の下を延ばして喜びそうなものだが、大輔はそうではなかったらしく、ホッと安堵する加奈子だった。


「だから、私からは誘えないんです。きっとあの子と同じように断られちゃうから……」

「そんなの、言ってみないと分からないんじゃない?」

「それはそうなんですけど、自信ないし、もし断られたらそれでお終いですよね? それよりは確実な手段を取りたいんです」

「と言うと?」

「主任から誘ってほしいんです。嶋田先輩を……」