「イッてぇ~。何すんだよっ!!」

「それはこっちの台詞ですっ!! いい加減からかうの、止めてくれませんかっ!!」


きっと堤所長は、自分の中にある解決できない気持ちを、私を使ってどうにかしようとしているんだ。自分では処理しきれない、どうにもできない気持ちを……。


でも何で私使うの? 私の気持ちを知らないとはいえ、人の気持ちを弄ぶなんて、いくら上司だからって許されることじゃない。


そんなことに使われるのは、まっぴらごめん。


だって私は、堤所長のことが好きなのに……。


その場にしゃがみ込み、涙でグシャグシャになった顔を両手で隠す。


何で私、こんな所にいるんだろう。早く家に帰りたい……。


ヒックヒック肩を震わせて泣いていると、頭上から呆れたような声が降ってきた。


「っとに、予測不可能な行動をおこすよな、お前って」


まだ頬が痛むのか、ちょっと喋り方がおかしい。


「た……たかれる……ようなことする、堤所長が……悪いんです」

「あっそ」


いつものお決まりの答え方をすると、堤所長も私の前にしゃがみ、私の頭に手を乗せた。