「このエロ女っ!! ちょっと来いっ!!」
そう怒鳴り私の腕を掴むと、廊下を引きずるように引っ張って、リビングへと向かった。
中に入ると、本日二度目となる放り投げにあい、バタッと床に倒れこんだ。
「さっさとソファーに座れっ」
今までよりワントーン低い声で命令され、おずおずとソファーに座った。
「何で、あそこに来たの?」
「ふ、服を取りに……」
「服? なんて服がいるんだよ?」
怪訝そうな顔をすると、一歩すつ私に近づく。
「家に、自分の家に帰ろうと思って……」
「そんな勝手、許されると思ってるの? 俺の裸を見ておいて、その償い、どうするつもり?」
そう言って私の前に立ちふさがると、顎を掴んで上を向かせた。
勝手? 償い? それはこっちの台詞じゃないっ!!
「裸なんて見てませんっ。それに勝手なのは堤所長じゃないですかっ!!」
「俺が勝手なのは今に始まったことじゃない。でも、菜都の勝手は許さない」
はぁ!? 何、開き直っちゃってるの? 意味わかんないっ!!
頭に来てソファーから立ち上がると、堤所長を睨みつけた。
「ふ~ん、俺に張り合う気?」
張り合って勝てる相手じゃないことぐらいわかってる。でもどうしても、そんな勝手は許せない。



