それにしても、堤所長も堤所長だっ。
彼女がいるにもかかわらず、私が部下だとはいえ、他の女を部屋に連れ込むなんて。
彼女がこれを知ったらどんな気持ちになるのか、堤所長は考えなかったのかしらっ!!
もしそうだとしたら、無神経すぎるにも程があるっ。
それにこの部屋の感じからして、一緒に暮らしてるよね?
今日は帰って来ないの?
もし帰ってきて私がいたら、それってマズくない?
そんな疑問が頭の中にいっぱいになると、とても落ち着いて椅子に座ってられなくなってしまった。
「か、帰らなきゃ」
慌てて立ち上がり、バタバタとバスルームに向かう。
私の服って、今どんな状態なんだろう……。
気が動転していて中の確認もしないまま、バスルームの扉をガラッと開けてしまった。
そして中の状況に言葉を失う。私の思考は、完全にフリーズ。
そこにはシャワーから出たばかりの堤所長が、素っ裸で立っていた。それも棚と高いところにある何かを取ろうとしていたのか、台の上に乗っている堤所長の下半身が、私の目の前にっ!!
「お、おいっ菜都っ!! お前、なんでいきなり開けるんだよっ!!
さっさと扉、閉めろっ!!」
堤所長の怒鳴り声に、何処かへ行っていた意識が戻る。
「す、すみませんでしたっ!!」
ギュッと目を瞑りそれだけ言うと、バンッと力いっぱい扉を閉めた。



