その手を払いのけ自力で立つと、堤所長を睨む。本当は、あっかんべーでもしてやりたい気分だったけど、それは大人気ないからと止めておいた。
そんな私を見て堤所長は苦笑すると、私の手を取りバスルームへと連れ込んだ。
「堤所長っ!! 手、手離して下さいっ。それにこんなとこ連れ込んで、な、な、何するつもりですかっ!?」
繋がれた手が熱くて、動揺丸見え。それもいきなりバスルームッ!?
まさか『一緒に入るぞ』とか言い出しちゃったりしないよね?
危険を感知した身体は、繋がれたままの手を振りほどこうと試みているが、失敗に終わる。
「無駄なことしてないで、早く脱げ」
ぬ、ぬ、脱げーーーっ!!??
想像していたことが現実となってしまい、絶体絶命!!
やっぱりこの人は悪魔、いやっ鬼畜だっ!! か弱き乙女に、しかも部下に向かって“脱げ”だなんてっ。
怒りと恐怖。ふたつが入り混じった気持ちが今にも爆発しそうで、でもなんとかそれを堪えていると、勝手に涙が出てきてしまった。
「何でお前が泣くんだよ。この勘違い女っ!! 服、洗って乾燥してやるから、脱げって言ってんのっ、ほらっ」
バスタオルを渡されると「さっさと入れよ」と言って、バスルームから出て行った。



