極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~


「どうしてでしょ~」


おかしそうにそう言うと腰の戒めを解き、車から降りようとした。


「えっ? どこ行くんですか?」

「ここコンビニだろ。ちょっと待ってろ。絶対に逃げるなよっ!!」


それだけ言うと、まだ雨が降る中を走ってコンビニへと入っていった。


なんて勝手な、悪魔の堤所長。


『逃げるなよっ!!』だって。この状況で、誰が逃げられるって言うのっ!! そんなことしたら、あとが怖いじゃない。それこそ、“張りつけ城中引き回しの上、獄門!” てな江戸時代みたいな刑が執行されそうだよ。それも、本当にやりかねない怖さがあるから恐ろしい。


はぁ~と溜息をつくと、助手席のシートに座り直す。


でもさすが父親が乗ってる普通のセダンと違って、高級車のシートは座り心地がいい。身が沈まるっていうの? 柔らかいというか、上等のソファーに座っている感じ。


それに堤所長の車は、オール革張り。こんなずぶ濡れの女を座らせちゃってよかったのかな。まさかあとで、クリーニング代請求されるとか?


可能性、大?


恐ろしさから身体をブルッと震わせると、自分で自分の身体を抱いた。


寒いわ───


それが怖さからくるものなのか、クーラーで冷えている車内のせいなのか……。