極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~


こ、これは悪魔か? 口調は悪魔だけど、そこから感じるのは天使?


どっちともとれる堤所長に、その真意を確かめるべく口を開く。


「今は、どっちの堤所長ですか?」

「どっちって何?」

「だからですね。会社での堤所長と、今の威圧的な堤所長。どっちが本当の所長かと思いまして」


私の質問にフンッと鼻で笑うと、腰をギュッと抱き寄せた。堤所長との距離がグンと近づく。


「聞きたい?」


そう言って顔を近づけると、蠱惑的な瞳に吸い込まれそうになる。それでもなんとかコクンと小さく頷くと、満足そうに話しだした。


「どっちも俺だけど、今が素の俺だな」

「二重人格ってやつですか?」

「違う。二重人格ってのは無意識になるんだろ? だったら俺は、自分で意識して2つを使い分けているからな。それに素の俺じゃ、社会人としては失格だろ?」


なんて、どや顔されてもねぇ。本社の人間に、チクってやろうか。なんて思ってみても、会社での堤所長が好きな私がそんなことできるはずもなくて……。


「で私はなんで今、車の中で抱かれているんでしょう?」


少しずつ気持ちも落ち着いてきて、当たり前の疑問を口にする。だってここは、コンビニの駐車場だよっ。さっきから左右に駐車する車から降りてくる人たちが、私たちを見ていくんだもん。恥ずかしいったらありゃしない。