「何、その目?」


うぅ……怖い。でもここで怯んだら相手の思う壺。頑張るんだっ、菜都!!
ブルブル震える身体をグッと押し止めると、思っていることを全部口にした。


「いい加減にして下さいっ!! なんなんですか? 私のことが嫌いだったら、車になんか乗せなきゃよかったじゃないですかっ!! それを勝手に乗せたくせに、頭拭け? キモい? 言っていいことと悪いことがあるって分かんないんですか? 人をバカにするのも大概にしろってんですよ!! 全く何考えてんだか……」


あぁ~言ってやったっ!! スッキリしたっ!! 身体は濡れていて気持ち悪いけど、気分は爽快!!


息をハァハァさせながらも、言いたいことを全部言って満足していると、目を丸くして驚いたような顔をしていた堤所長が、突然大声で笑い出した。
それも目からは涙なんか流しちゃって、一向に止まりそうもない。


怒っていたと思ったら、今度は笑い上戸?


喜怒哀楽が激しいというか、よく分からない人だ。


でも上司に向かってあれだけのことを言っちゃったんだもん、これはもう絶対に車から降ろされるよね。もしかして、会社“クビ”ってことになったりして。