そのまま車の助手席に放り込まれると、堤所長も私のスニーカーを拾ってから運転席に乗り込んだ。


後部座席に身を乗り出しスニーカーを置くと、何やら紙袋をゴソゴソと漁る音がした。


な、何? 何を取り出そうとしているの? 紐? 目隠し? 猿ぐつわ?


私をどうしようって言うのぉ~っ!?


恋愛ドラマとはかけ離れた展開に、身体をビクビクさせていると、頭に何かがふわっと掛かった。


それを手に取ると、それは一枚のタオル。


な、なんだぁ~。私ったら、とんでもない妄想しちゃって恥ずかしい……。突然顔に熱を感じタオルで隠すと、堤所長がフッと笑った。


タオルを少しだけずらして、堤所長を見る。


げっ!! 目が合っちゃった。なんでこっち見てるのよっ。でもよく見てみると、堤所長は髪から雫を垂らしたまま。もしかして、タオル一枚しかないとか?


慌ててタオルを顔から離し、両手で堤所長に差し出す。


「あ、あの、堤所長が先に使って下さい」


俯き頭を下げると、頭の上に手が乗せられた。


「菜都から使え」


菜都? なんで呼び捨て……。


名前を呼ばれたことに驚き顔を上げると、堤所長の目に甘い色が現れていて、言葉をなくしてしまう。