極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~


「はい、なんとか。ご心配お掛けしました」


「まぁいろいろ失敗もあるさ。なっちゃんにくよくよした姿は似合わんよ。お疲れさんっ」


そう言うと倉庫の奥に消えていった。


「お疲れさまでした」


私もあいさつをすると事務所に戻り、ロッカールームで服を着替える。リュックを背負い外に出ると空は一層暗さを増し、今にも雨が降り出しそうだった。


「急がなくっちゃ」


小走りで自転車置き場まで行き鍵を外すと、自転車の異変に気づく。


「なにこれっ。後ろのタイヤ、パンクしてるじゃん」


指でタイヤを押してみれば、ペコペコと簡単にへっこんだ。なんでこんな日にパンクするかなぁ。神様が意地悪してる?


「もうっ最悪っ!!」


もう一度鍵をかけ直すと、その場にしゃがみ込む。


今から自転車を押して修理に持って行くのはしんどいし、今日は歩いて帰ろうかなぁ。雨が降りだしたら、お金はもったいないけど電車という手もあるし。


しょうがなく立ち上げるとガックリ肩を落とし、家に向かって歩き出した。