「なんだよ、あれっ!! 菜都さんが可哀そうじゃん」
「でもぉ~、所長は間違ったこと言ってないような気がするのは、未歩だけですかぁ~」
未歩ちゃんの言うとおり。堤所長は間違ったことは言っていない。けれど私が、それを認めたくなかっただけ。
未歩ちゃんにそう言われ少しだけ気持ちが楽になると、急いで堤所長のところまで走りだす。
そんな私を見て何かを感じたのか、拓海くんも「しょうがないなぁ。急いで持って行くか」と言って、倉庫へと向かった。
「堤所長っ!!」
車に乗り込もうとしていた堤所長を大きな声で呼び止めると、そばまで走り寄る。そして呼吸を整えると、堤所長の目を真っ直ぐ見つめた。
「さっきは、すみませんでしたっ。もう二度と、このようなミスをしないよう気をつけますっ」
そう言って深々と頭を下げると、堤所長が私の肩に手を置いた。
「わかったから、とにかく頭をあげなさい」
さっきまでとは違う声色に、ゆっくりと頭をあげた。
そこにはいつもの顔の堤所長がいたけれど、私はまだ普段通りにはなれそうにない。



