か、可愛かったって……。


私が可愛かったっていうの? この私が? ゆでダコが?


いつも意味深な言葉だけを残していって、その本意は決して話してはくれない。


だからいつも翻弄された心は、ざわついたまま。


それでも恋愛ドラマのような恋をしたい私は、自分からその気持ちを聞くことは絶対にしない。


だってかっこ悪いじゃない。そんなこと聞くのは……。


そして心の中で問う。


堤所長。私のこと、好きなんですか……って。


デスクへ戻っていく堤所長の姿を目で追い、熱い視線を送る。


すると堤所長が立ち止まり、振り返った。目線が重なる。


まさかっ、私の心が通じたっ!?


ドキドキと高鳴る胸を抑えながら、堤所長の次の動きを窺う。この間がもどかしい。


そして堤所長の口がゆっくりと動き出すと……。


「あっ菜都さん。仕事のミスはいけません。気をつけて下さいね」


ズルッ!! どっかのお笑い番組さながら、ズッコケそうになったじゃないっ!!