「ちょ、ちょっと未歩ちゃんっ!! 何写真撮ってるの!? それにゆでダコって……」


私がひとり妄想している間に、堤所長の手は離れてしまっていたけれど、私の手を通して伝わった熱は、確実に私の顔を赤く染め上げているに違いない。


でも未歩ちゃん、ゆでダコはないんじゃない?


急に恥ずかしくなって下を向くと、堤所長の笑う声が聞こえた。


「はははっ、ゆでダコかぁ。大瀬さん、面白いことを言いますね」


面白いことって……。私をゆでダコにしたのは、どこのどなたですかっ!! あなたですよっ、堤所長!!


全く、わかってやっているのか、それとも天然なのか……。面白がってやってるとしたら、それって意地悪が過ぎない?


顔を上げ堤所長を睨む。私の顔を見て一瞬驚いたような顔をしたけれど、それをすぐにいつもの顔に戻すと、頭をポリポリと掻いた。


「怒らせてしまったみたいですね。すみません。でもゆでダコの菜都さん、可愛かったですよ」


そう言って私の肩にぽんっと手を置くと、デスクへと歩き出した。