ちょっと楽しい気分になって笑みをこぼすと、私の顔を見た松浦所長がすっと立ち上がった。
「じゃあ後は、若いお二人で」
って、見合いじゃないしっ!!
隣を見れば、拓海くんが何のことやら分からない顔をして、私のことをジッと見てるし……。
ちょっと、どうすればいいのよっ、この状態っ!!
所長にどうにかしてもらおうと顔を戻すけれど、訳の分からない言葉を残していった当の本人は、未歩ちゃんが飲んでいるグループでもう飲んでいて……。
「松浦所長、あれ絶対に酔ってるよね」
目の前にある“きゅうりのナムル”を一つつまむと、口にポイッと投げ入れる。
「菜都さん、行儀悪い。はい、これっ」
そう言って私の前に、新しいチューハイをトンッと置いた。
「あ、ありがとう」
───西野のことが好きなのか?───
さっきの所長の言葉を思い出してしまって、拓海くんの顔を見ることが出来ない。



