極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~


そしていい雰囲気になって二人で部屋を抜けだして……。


って今日はそこまで無理だけど、ちょっとは関係が進むかなぁ~なんて。


ドキドキする胸を押さえながら、まるでスローモーションのようにゆっくりと振り向くと、そこにいたのは堤所長ではなく───


「あ……松浦所長」


思わず『ゲッ』と出そうになってしまった。危ない、危ない。顔を愛想よくニコッとさせると、機嫌の良さそうな所長は私の隣にドカッと座り込んだ。


別に松浦所長が嫌いなわけじゃないのよ。入社して以来、ずっとお世話になった人だからね。


ただ自分が、50過ぎてお腹も出てて頭も禿げだしてる妻帯者の所長に、ドキドキしちゃったことが情けないと言うか悲しいというか。このタイミングは、堤所長に来て欲しかったと言うか。


私の妄想脳、重症かも……。


少しテンションが下がりながらも松浦所長と美味しくお酒を飲んでいると、配送仲間と飲んでいた拓海くんが、所長の反対側に腰を下ろした。