遠い……遠すぎる。
まだ始まったばかりで二人の所長の近くには、営業主任や配送主任がいて近寄りがたい。
時々堤所長を見ては、枝豆を一粒ずつ丁寧に取り出し皿に出していると、前に座っていた未歩ちゃんがテーブルをトントンと指でつついた。
「うん? 未歩ちゃん、何?」
「その枝豆、誰が食べるんですか?」
未歩ちゃんが指差す所に目線を下ろすと、皿にはこぼれ落ちそうなくらいの枝豆の山ができていた。
「うぉっ!! 何だこれっ!!」
あまりの量に驚き大きな声を出すと、一斉に注目を浴びてしまう。
「市川~。経費だからって、食いすぎるなよ~」
今日の幹事の営業主任が離れた場所から叫ぶと、その場がワッと笑い声で包まれた。もちろん堤所長も笑っている。
「ほ、放っといて下さいっ!!」
恥ずかしさから残っていたビールを一気に飲み干すと、山になっていた枝豆をスプーンですくって食べ始めた。



