「菜都から離れられないんだ」
そう紡ぐ口は私の耳をチュッと食むと、ゆっくり移動して唇にもう一度熱を伝えた。
突然の前所長の本社移動で、入れ替わりにやってきた爽やか堤所長に恋をした。
そして彼となら“ドラマみたいな恋”ができるんじゃないかって。
でもいざその恋を始めてみると、誰かと恋をする、誰かを愛するという気持ちは、ドラマのようにいかないんだと気づく。
私たちは生きていて、ひとりひとり感情があって。誰かに動かされて恋愛をしてるわけじゃない。
私たちの恋には、ドラマみたいな台本なんてものはなくて。
一日一日話は作られていって、また紡がれていく。
そしてその行動によって言葉によって、未来はどんなふうにも変わっていく。
ドラマの撮影のように『間違えたからもう一度お願いします』なんてチャンスはない。
生きていく上での一発勝負!!
だから毎日を、大切に過ごしていかなければいかない。
作られたドラマとは違う。
でも龍之介との日々を思い返してみれば、私たちって案外“ドラマみたいな恋”してたんじゃない?
それも、ドラマ以上にドラマチックな恋を。
合わさっていた唇を離し、私の頬を撫でる龍之介の手に自分の手を絡める。
「ねぇ龍之介、これからも私をドキドキさせてね」
「言われなくても、毎日でもドキドキさせてやる」
やっぱり龍之介との恋は……
─── 極上ラブ ───
HAPPY END



