「気持ち悪くて、すみませんっ。だからって、叩くことないじゃない!! 一応私、ひとつ先輩なんだけどっ」


「たったひとつじゃないですかっ。それに、俺のほうが全然しっかりしてると思うんだけど?」


何おぉ~!? 私の方がしっかりしてるっちゅうのっ!!


それにしても、ホント最近の拓海くんは私によく突っ掛かる。
倉庫で顔を合わせても減らず口ばかりたたいて、私を困らせる。


私、何か拓海くんの気に触るようなことしたっけ?
全然記憶にないんだけどなぁ。
あのワンコのような従順さの君は、どこに行ってしまったの……。


少し悲しげな目で拓海くんを見ると、一瞬困ったような表情を見せてから、顔を背けてしまった。そしてその状態のまま、話し始めた。


「とにかく、一人で妄想してニヤニヤしてると、あとで痛い目を見ますよ」


「痛い目って、何よっ?」


「あぁ~もうっ!! いいですよ、分かんなくたってっ。 まぁ精々、頑張って下さいっ」


そう言うと、通用口から倉庫へと行ってしまった。