時計を見ると、すでに十時を過ぎていて……。


社員旅行二日目の豪華な料理はもう片付けられてしまっただろうと肩を落とすと、同時にお腹がギューッと音を鳴らした。


それにしても、龍之介には困ったものだ。


彼が底なしに絶倫なのは知っているつもり。それに好きな人に抱かれるんだもの、私だって嬉しいしそれにできるだけ応えたいと思ってはいる。


でも今日は普段と状況が違うわけで。営業所の皆、そして本社の営業部の人や秘書課の面々も一緒の社員旅行の最中であって。


そんな時にいくら別棟だからといって、あんなことやこんなことをしちゃってもいいものなの?


なんて考えていたら、ついさっきまでしていたことを思い出してしまい顔に熱さを感じると、バサッと掛け布団を頭の上まで被った。


ダメだっ!! 恥ずかしくって顔は火照っているのに、顔はニタニタニヤついてしまうなんて……。


おいっ私っ!! どんだけ好き者なのよっ!!


これじゃあ龍之介のことを、“絶倫”なんて言ってられないじゃない!!


布団の中で一人悶えてじたばたしていると、掛け布団が一気に捲られ視界から消えた。


「布団の中でもそもそ動いて、ひとりで何してたんだよ?」

「おぉっ!? ちょっと何するの。布団返してよっ!! それに、ひとりで何かしてたみたいな言い方しないでくれる?」

「違うのかよ?」

「違いますっ!!」

龍之介から無理やり掛け布団を奪い取り、それを身体に被せると龍之介をキツく睨みつける。でもそんな私の些細な抵抗は、龍之介に効き目なんかなくて。


フッと小馬鹿にしたように鼻で笑うと、布団の中に入り込んできた。