龍之介の視線が気になる。
「あっち向いて」
「何で?」
「じゃあいい」
何でって。いくらバスタオルを巻いたとはいえ、龍之介に見られながら脱ぐのは恥ずかしい。
諦めて後ろを向くと、袖口にリボンの付いたお気に入りのブラウスを脱ぎ、クロップドパンツも脱ぎ捨てた。
これでバスタオルの下は、ブラジャーとショーツだけ……。
お風呂だもんね、脱がないわけにいかないよね。
ここまで脱いでおいて、モジモジと往生際悪くしてるのもカッコ悪い。
ブラを外しショーツも脱ぐと、龍之介よりも先に露天風呂に向かう。
本来なら身体をお湯で流してから入りたいところだけど、バスタオルも巻いてるし今はそうも言ってられない。
露天風呂の縁に立ち、足をちょこんとお湯につけてみる。
「熱っ!!」
源泉かけ流しだからか、かなり熱め。普段はぬるめのお湯に入ってるから、熱いのには慣れてないんだけど。
ここは背に腹は代えられない。
一気にザブンと風呂の中に飛び込むと、肩まで浸かる。
「何もそんなに喜んで入らなくても」
「喜んでないっ!!」
バスタオルで隠れている胸元をギュッと掴み、後ろを向く。
いくらもう身体の関係があるとはいえ、一緒にお風呂は恥ずかしい。
薄暗い明かりに湯気が立ち込めてる、この空間が恥ずかしさを増幅させているんだろうか。
まだ入ったばかりなのに、もうのぼせそう。



