「許してほしい?」
「ほしいねぇ~」
「本当に反省してる?」
「してるしてる」
「そんな風には見えないんだけど」
「そうなの? じゃあ……」
耳朶に龍之介の熱い唇が触れて身体がその熱に溶かされそうなると、その瞬間を見逃さなかった龍之介が私を抱きかかえた。
「な、なにっ!?」
「顔も手も足も汚れてるし、風呂入るぞ」
「入るぞって、一緒にってこと?」
「当たり前だろ。そこで俺が反省してるってことをわからせてやる」
わからせてやるって、それは反省してる人の言う言葉じゃないでしょっ!!
それに、一緒にお風呂なんてあり得ない!!
そんなこと勝手に決めないでよっ!!
「ひとりで入るから下ろして」
「却下」
「偉そうに……」
「だから俺は菜都の上司だって、何回言えばわかるの?。お前より偉いの」
でもここは会社じゃないわけで。上司風吹かされても困る。
自分の置かれている立場を、全くわかってないのかしら。
しばらくはしおらしい態度ってもんを、とるべきじゃないの?
不満だらけの言葉が、頭の中を駆け巡る。でも時は進んでいるわけで。
露天風呂手前の脱衣らしきスペースに到着すると身体をそっと下ろし、腕を組んで私のことをジッと見つめる。
その妖しく光る瞳に、右の口角がピクリと少しだけ上がる口元に、身体がぞわりと震えた。



