土下座させる?
いやいや、そんなことしたらあとが怖いじゃない。
じゃあ暫くの間、夕飯を奢ってもらうっていうのはどう?
う~ん、なんかそんな程度のこと、龍之介には痛くも痒くもなさそう。
もうっ罰って、一体何をさせれば罰になるのっ!?
頭の中がいっぱいいっぱい。これ以上考えているとショートしてしまいそう。
ひとり龍之介の目の前であたふたしていると、いきなり腰を引き寄せられてさっきより密着して抱きしめられてしまう。
「ちょ、ちょっと龍之介、離してよっ!!」
「ヤダね。もう絶対に離さない。って、俺さっき言ったよな?」
「そ、そうだっけ?」
言ってたね。湖畔沿いでそんなようなことを……。
でもまだ今は話の途中。
許さないって言ったじゃないっ!!
なのにもう上から目線?
冗談じゃないっ!! 私はあんな怖い目にあったのよ。その責任、どうやって取ってくれるのよっ!!
って、龍之介にバシッと言ってやりたいんだけど……。
「で、俺のこと、本当に許してくれないの?」
耳元に甘い声で囁けば。私の龍之介に対する怒りの炎は、その姿を徐々に小さいものへと変えていき……。
ふぅ~と耳に息を吹きかけられれば、その炎はスッと姿を消してしまった。



