「菜都、何ぶすっとした顔してるんだよ?」
「いつもこんな顔ですけど、何か?」
ぶすっとした顔にさせてるのは、どこのどいつだと思ってるのよっ!!
私だって、清香さんみたいに綺麗な笑顔を見せたいよ。
「菜都さんは、私にヤキモチ妬いてるのよ。ね?」
ねっ?って……。
清香さんも清香さんだ。女同士だからか、きっと私の気持ちなんてお見通しで。
だったら少しくらい、気を使ってくれてもいいのに……。
付き合ってなくたって、そんなに仲よさそうなところを見せられたら、普通ヤキモチを妬くでしょ?
それにこの旅行中、ずっと胸が痛かったんだから。ふたりの姿が目に入る度に、何回泣きそうになったことか。
「菜都さん、本当にごめんなさい」
清香さんが深々と頭を下げると、肩で息をする。
「でも龍之介さんには、本当にお世話になったの。彼のことも、そして弘田さんのことも」
「え? 弘田さん?」
今はまだ聞きたい名前ではないが、清香さんの口から弘田さんの名前が挙がるなんて。
「そう。私、龍之介さんとの話が出る前に告白されてね。もちろんその時にはもう彼氏がいて断ったんだけど」
そこまで言うと、清香さんは悲しそうに顔を伏せた。
「断られたことに頭にきた弘田が、ストーカー行為をし始めたんだ」
龍之介が私の手を強く握ると、悔しそうに唇を噛んだ。



