呆れ顔で龍之介のことを見ていると、清香さんに笑われてしまった。
「菜都さんは、龍之介さんのことがすごく好き見たいね。顔に書いてある」
「はっ? 清香さん、何言って……」
両手で自分の顔を隠すと、慌てて俯いた。
「いいのいいの。私は龍之介の彼女じゃないから安心して。身体の関係もなければ、キスもしてないわよ」
「おいっ清香!!」
「いいじゃないの、本当のことなんだから」
なんなんだ、このふたりは! 一体どんな関係なのよっ!!
顔を上げキッと龍之介の顔を睨みつけると、困ったように溜息をついた。
「清香とは、付き合ってるふりをしてただけなんだよ」
付き合ってるふり?
清香さんの顔を見てみれば、そうなのと言わんばかりにウンウンと頷いていた。
「実は私には龍之介さんとの話が出る前から、好きな人がいてね。その彼と付き合ってるんだけど……」
そう言うとソファーに座り、ガックリと肩を落とす。
「父に認めてもらえなくて。父は世間体を気にする人で、地位や名誉、表面的な人の顔しか見ない人なの。恥ずかしい話だけど」
「で俺のことを専務から聞いて、清香と結婚させるって。俺も最初は断るつもりでいたんだけどな、さっきも言ったとおりこいつ良い奴でさ。付き合うのも悪くないかなっと思った矢先『私、好きな人がいるの』だってさ。笑ったね」
「あの時の龍之介さんの顔は、面白かった」
清香さんがそう言うと、ふたりは顔を見合わせて笑った。
二人の話を聞いて付き合ってないのはわかったけれど、ちょっと仲が良すぎておもしろくない。



