「露天風呂っ!?」
思わず声に出してしまい、慌てて両手で口を押さえる。
檜だろうか。木で出来た五人は入れそうな風呂があり、その横にはくつろぎスペースが設けてあった。
別に、ここでは話をするだけ。
そう自分に言い聞かせてみても、なぜだか鼓動は速くなるばかり。
まさか龍之介。一緒に入るなんて、言わないよね?
龍之介のことを怒っているのに、そんなことを考えてしまうなんて……。
私も相当なバカだ。
露天風呂から目線を室内に移動させると、湿布と包帯を手にした龍之介が部屋に戻ってきた。
そして、私の足元にひざまずく。
「菜都、足見せて」
そう言って私の足に触れようとした龍之介の手から、逃れるように足を隠した。
「い、いいです。湿布ぐらい、自分で……」
「いいから、早く出せ」
私の言葉を遮ると龍之介は無理矢理足を掴み、自分の方へと寄せる。
そして、いまだに赤く腫れている左足首をゆっくりと撫でた。
「菜都、ごめん。お前に怪我をさせるつもりはなかったんだ。本当にごめん……」
それはいつもの龍之介らしからぬ声で、今にも泣き出してしまうんじゃないかと思うくらい弱々しいものだった。
「これは私が勝手に転んで捻っただけです。龍之介が悪いわけじゃない。ねぇ龍之介。私に全部話して。弘田さんのことも、清香さんのことも全部」
私の足にある龍之介の手を取りギュッと握る。
その手から私の気持ちが伝わったのか、龍之介が「わかった」と言って大きく頷くと、私の横に座り直した。



