極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~


なんで別館?


龍之介の顔を伺っても、知らん顔でまっすぐに歩いていく。


確かこの旅館は、今年のはじめに別館をオープンさせたはず。


まだ真新しい館内は、どことなく木のいい匂いが漂ってきて、それだけで高級感を感じさせた。


しかし、高級感を感じさせるのはそれだけではない。


社員旅行に来る前に見たパンフレットにはここの宿泊料金も記載されていて、その額は眼を見張るものだった。


その別館の部屋を、頼んでおいたっ!?


わけがわからない。


だって龍之介にも私にも、本館に部屋がある。


学生の修学旅行じゃあるまいし、私と未歩ちゃんの部屋に男性が入れないわけじゃない。


話をするなら本館の部屋でいい。


だから、別館に部屋なんていらないのに……。


なんてひとりで考えているうちに、いつの間に乗り込んでいたのかエレベーターが七階に到着した。


龍之介は私を抱き上げたまま、すぐ目の前の扉に向かいカードキーを差し込む。


扉がガチャッと音を立て鍵が開いたことを知らせると、龍之介は上手に身体で扉を開け、中へと入っていく。


そして、客室のリビングにあるソファーに私を下ろした。


……って、この部屋は何ですか?


まるで高級マンションの一室のような広さに、豪華な調度品の数々。リビングの片隅には小さいながらもバーカウンターがあり、ちょっとしたパーティーができそうだ。


リビングの隣にはベッドルームらしき部屋が見えるし、反対側には掘りごたつが付いた和室もある。


そして湖が見える窓の方に目をやると……。