極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~


「だからあいつから仕事を奪ってやることにした。そして市川さん、君も」


その目からは怒りが満ち溢れていて、今にも私に襲いかかりそうに血走っている。


今でも危険な状態には変わりないが、今以上に危険を察知した身体は、弘田さんを身体の上から下ろそうと右へ左へと身体を揺さぶった。


でも思ってた以上にガッチリとしていた弘田さんの身体はびくともしない。


「ムダな抵抗は止めなよ。全く堤といい君といい、往生際が悪いんだよ。昨日君に話した取引会社からの賄賂の話、あれは俺が仕組んだことなんだ。もうその話もうまく処理できて堤も降格処分になったってのに、また何かをコソコソ嗅ぎまわって。鬱陶しいんだよ、堤のやつ」


私の肩を掴んでいる手に力を込めると、鈍い痛みが走る。


「な、何で、堤所長にそんなことをするの?」

「何でって、あいつが目障りで嫌いだからに決まってんだろ。なんの苦労もせず、何でも簡単に手に入れやがってっ」


なんだ、その低レベルな理由はっ!! 子供かっ!!


龍之介が何の努力もせずに、何でも手に入れてるわけがないでしょっ!!


このアホッタレがっ!!


と大声で叫んでやりたいのに、肩をギュウギュウと力いっぱい押されて、痛みから声が出ない。


悔しい……。


代わりに涙が頬を伝うと、弘田さんの顔が歪んだ。