昨晩の宴会は予定よりも遅くまで盛り上がったと、未歩ちゃんから聞いていた。だから朝食は、静かに食べれると思っていたのだけれど……。
「なっちゃんと未歩ちゃん、おはよう! こっち座れ!」
配送主任の宮村さんが大きな声上げ手招きすると、すでに賑わっていた会場内が尚一層賑やかさを増した。
なんでみんな、朝からそんなに元気なの?
気付かれないように溜息をつくと、宮村さんの隣の席に座った。
「菜都先輩、ほらあそこ」
未歩ちゃんに肩をつつかれ指差した方を見ると、龍之介と目が合った。
その目が何を語っているのか……。
龍之介の気持ちがわからないまま目を逸らすと、偶然にも弘田さんと目が合ってしまった。
ヤバい……。
気付かなかったふりをしてサッと逸らしてみたが、弘田さんはニヤニヤと笑いながら私に近づいてきた。
「市川さん、おはよう。朝から可愛いね。今日は一日、一緒に行動しない?」
「何寝ぼけたこと言っちゃってるんですか?」 と言い返したいのを口から出る一歩手前で止めると、作り笑顔を向ける。
「おはようございます。弘田さん、まだ酔ってるんですか? すみません、今日はひとりで行動したいので」
なんで私が、弘田さんと行動を共にしなければいけないのか。わけがわからない。
けれどこれは、弘田さんの誘いを断るために思いついた言葉じゃなかった。
昨晩から決めていた。今日は、みんなと離れて行動しようと───



