「君たちは兄妹みたいだね。仲が良くていいな」


いきなり大きな声で笑って、そんなことを言うからびっくり。
私たちが姉弟? まぁ確かに、私は拓海くんのことを弟みたいに思ってはいるけれど。傍から見ても、そんな風に感じるんだ。


拓海くんの顔を見てみると、何だか面白くなさそう? また溜息をつくと堤新所長に頭を下げて、倉庫の奥に行ってしまった。


「僕、何か彼を怒らせるようなこと言ったかな?」


失敗したかのよう頭を掻き苦笑する姿に、胸がキュンッと高鳴る。


その顔、可愛すぎます。新所長さま……。


目を奪われたまま動かない私にニコッと笑いかける堤新所長。そして事務所に戻ろうとして歩き出し、一二歩で足を止めると何かをボソッと呟いた。


「でも、付き合ってなくて良かった……」


風が吹けば流れて消えてしまいそうな小さなその声を、私は聞き逃さなかった。
ドキドキと速くなっていく鼓動はそのスピードを増していき、私の身体を熱くする。


『それって、どういう意味ですか?』


そう聞こうと思って足を一歩踏み出し口を開こうとしたけれど、思うように動いてくれない。