だけど、どうして駐車場? 私を下ろすだけじゃダメなの? もしかして、私のところに寄っていくとか?
そうなのぉ~!?
助手席のシートに手を掛け、車をバックさせている横顔を見る。
「だから、何っ?」
チラッとだけこっちに目を向ける仕草に、ドキッとする。
「うちに来るんですか?」
「はぁ? 当たり前だろ、泊まるんだから」
なんだ、そっかぁ~、泊まるんだ。なら車は駐車場に入れないとね……
……って、ちょっと待て~いっ!!
なんでいつの間にか泊まることになってんのよっ!? 私、何も聞いてないんですけどっ!!
首を小刻みに振って、拒否を伝えてみる。
「何人形みたいに首振ってんの? これ決定事項だから。人に奢ってもらっておいて、よくそんなことできるよなぁ。菜都って冷たい」
偉そうに言い放ったと思ったら、最後は何悲しそうな顔してるのよっ。
これじゃあ、私の方が悪人みたいじゃないっ!!
悲しいのは私の方なんですけど……。
恨めしい目で見ても、龍之介はどこ吹く風で全く気にしてない様子。
「早く部屋行くぞ」
当たり前のようにそう言うと、大きなボストンバッグを車の後ろから出した。
なんで色違いでふたつ?
よくわからないまま車から降りて龍之介のところまで行くと、一緒に部屋へと向かった。



