チュッと合わせるだけのキスなのに、それだけで身体が熱くなってしまう。
「してほしかったんだろ、キス?」
そう言ってニヤリと笑う顔が、あまりにもセクシーで……。
ヤバい、鼻血が出そう。
キスの甘さと表情のセクシーさに、ノックアウト寸前。
だってこのシチュエーション、正しく私が憧れていた“恋愛ドラマ”そのものじゃないっ!!
それを実体験しちゃってるなんてっ!!
嬉しさが込み上げてきて、勝手に顔がニヤニヤしてしまう。
(こらっ菜都。そんな顔してると、龍之介に『気持ち悪い』とか言われるよっ)
心の中のもうひとりの私が忠告するけれど、一度緩んでしまった顔はどうすることもできなくて……。
「なぁ菜都。嬉しかったのはわかるけど、その顔は気持ち悪い」
(ほらね……) もうひとりの私が、ボソッと呟く。
「気持ち悪いって。元はといえば、龍之介が悪いんじゃない。勝手にキスなんかして」
「許可取ったら、キスさせてくれたのか?」
「それは……」
「だろ。菜都もキスしてほしそうだったし、俺もキスしたかったからした。それだけ。OK?」
OKって、「欧米かっ!!」 なんて、突っ込みたい気分。
でも、龍之介もキスしたかったんだ。
ちょっと、いや、かなり嬉しいかもっ。
やっぱり顔がニヤつくのを抑えられなくて、それがバレないように顔を窓の方へと向けた。



