極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~



人間ヤル気になればスゴい力を発揮するもんだなと、自分で自分に感心してしまう。


本来なら二日はかけてやる仕事を、一日でやり終えるなんて……。


私もゲンキンなものだ。龍之介にキスされただけで、別人のように仕事をテキパキとこなしちゃうんだから。


「菜都さん、どうしちゃったんですかぁ~」


なんて、普段と違う私に未歩ちゃんも驚くほどだから、余程のものだったんだろう。


でもしょうがないじゃない。だって龍之介が、『明日の準備して待ってろ』なんて言うもんだから、自分の意志に反して身体が勝手に動いてしまった。


急いで仕事を終わらせろって───


小会議室で言われたときは、龍之介の勝手な言動にちょっと腹も立ったけれど、実は嬉しかったのが正直な気持ち。


それが態度に現れてしまった。


さすがに定時には終わることはできなかったけれど、予定よりはかなり早い時間に請求書を出し終え、事務所を出ることが出来た。


それにしても、四時を過ぎた頃から龍之介の姿が見えなかった。どこに行ったんだろう。


そんなことを考えながら、自転車置き場まで向かう。


キレイに修理されて戻ってきた自転車に跨ると、いつもより勢い良く会社を出た。