やっぱりもう、私のことなんてどうでも良くなったんだ。


って言うより最初から遊び半分でからかって、私の気持ちを弄んでいたに違いない。


意地悪龍之介なら、やりかねないよね。


拓海くんは、『堤所長は菜都さんのことが好き』みたいなこと言ってたけれど、残念ながらその勘はハズレてるんじゃないかなぁ……。


はぁ……明日から二泊三日。こんな気持ちで、楽しく過ごせる自信ない。


「菜都先輩、溜息ばっかりついてると、すぐに年とっちゃいますよ」

「はいはい。どうせ私はおばさんですからね」


可愛げのない返事をすると、いつの間にか近くまで来ていた拓海くんが、可笑しそうに笑った。


「菜都さんはおばさんじゃないでしょ。でも溜息ばかりは良くないな。なにか悩み事?」


その質問を拓海くん、あんたが言う?


私の溜息の原因のひとつは、拓海くんにも関係があるんだからねっ。


心の中でそう呟き拓海くんの顔を恨めしそうに見ると、私の考えてることに気づいたのかそそくさとその場を立ち去り、倉庫への出入り口の前で振り返った。


「菜都さん。明日からの旅行、楽しみだね」


満面の笑みでそう言うと、手を振りながら倉庫へと消えていった。