うっ……。この状況、勘違いされてる? あの目は絶対、何かを勘ぐってる目だよ。


でも何で堤新所長が、まだ今朝会ったばかりの私のことなんか気にするわけ?


えっ? えぇっ? まさかっ、もしかしてっ!!
堤新所長、私に一目惚れしちゃったとかっ!?
いやいや、まさかね。そんなの私の、勝手な自惚れだよ。


そんな自分の思い過ごしな考えを飛ばすよう、ふるふる頭を振ってから、もう一度前を向く。


何でまだ見てるんですかっ!! 堤新所長!!


今度はその目の奥の真意を確かめるべく、ジーッとまるで光線を送るかのように見つめ続けると、一瞬フッと小さく微笑んでから目線を外されてしまった。


な、なに? 今の魅惑の微笑み……。


ドキドキと高鳴っていく鼓動。熱くなっていく身体。生まれて此の方、感じたことのない身体の変化に、頭の中は大興奮!!


これよ、これっ!! これぞ正しく“恋愛ドラマ”の恋の始まり、お決まりパターンじゃないっ!!


両手をギュッと握り締め、心の中で『イエスッ!!』と一声叫ぶと、まだ隣にいる拓海くんの身体を グイッと押しやった。