龍之介のこの表情に、この状況……。
ヤバくない!?
またあの爽やか堤所長の、お出ましかっ!!
ごくんっと生唾を飲み、期待半分不安半分な気持ちでその時を待っていると、龍之介の目が妖しく弧を描いた。
「なぁ菜都。お前って俺のこと好きだよな?」
なんだ、意地悪龍之介か……。って、そこじゃなーいっ!!
い、いきなりこの人は何を言い出すんだろう。
俺のことが好き?
そんなの、好きだけど好きじゃないっ!!
そう言葉には出さず、“違うっ”と顔を横に振る。
「それ嘘でしょ? 初めて会ったあの日から、ずっと俺に“恋”してるだろ?」
嘘!? そこまでバレちゃってるの!? イヤン、恥ずかしい……。
……って、なんて自惚れで自意識過剰な言葉に、恥ずかしがってんのよっ!!
龍之介の自信満々な態度に、呆れてしまう。
なんて思っていても、その言葉には顔を振れなかった。
だって私は確かにあの日、龍之介が初めて営業所に来た日に、ひと目で恋に落ちた。あの日の龍之介なら、営業所にいる時の龍之介となら、私の憧れる“ドラマみたいな恋”ができるかもしれないって……。



