「何、困った顔してんだよっ。俺が彼氏じゃ不服か?」
「はぁ、何いってんですかっ!? 彼氏じゃないから困ってるんですよっ!!」
ホントにこの人は、何を考えて行動しているのか全くわからない。
どうして彼氏なんて言うの?
本当に彼氏になってくれるの?
そんなこと言われたら、堤所長のことが好きな私は、違うってわかってても期待しちゃうんだから……。
この気持ち、どうしてくれるのよっ!!
堤所長の顔を見ながら溜息を漏らし項垂れると、堤所長が楽しそうに笑い出した。
「まぁそんなに気にすんな。そのうち、いいこともあるってっ!!」
私の頭をポンポンと叩きながら、まだ笑っている堤所長。
「いいことって、何ですか?」
「いいことは、いいことだよ」
だから、それを聞いてるのにっ!!
このまま堤所長といたって、いいことなんか何ひとつないような気がするんだけどっ!!
そんなやり取りをしている間に、私の住む七階のフロアに到着した。
恋愛ドラマに憧れちょっと無理して借りている部屋に、初めて男の人を入れる。それも相手は堤所長。
急に襲ってきた緊張にドキドキしてくる。それを悟られないように小さく深呼吸すると、ゆっくりと鍵を開けた。



