「あの、ね・・・。笑わないで聞いて欲しいんだけど・・・。」


伏し目がちで遠慮気味に言う珠樹に、笑うわけないよと返し、続きを促す。


「・・・す、好きな人・・・できたんだけど・・・。」


そこまで言って、珠樹の顔は真っ赤になってまるでゆでダコだ。


「えぇ!?だれ、だれ!?」


勢いよく食いついたあたしに、少しだけ体を反らせた珠樹は、またちょっと躊躇する。


「・・・・・あ、の・・・、堺・・・。」


「・・・堺?」


「うん、そう・・・。」


その彼の名前を口に出した途端、さらに顔を赤くさせるから、そろそろ爆発するんじゃないかと心配になる。


それにしても、堺って・・・。


「あっ!!」


うーん、としばらく頭をフル回転させてみて、やっと思い当たった。


「純平くん!」


「そ、そう・・・。」


柏木くんの試合を観に行ったとき、試合後少しお話したどうやら同じクラスの彼だ。


たしかに、イケメンだったし、柏木くんに負けず爽やかボーイだったっけ。