ちょうど、今は春と夏の境目で。 制服は、まだ冬服のまま。 「暑……」 あたし、伊野たまきは、クーラーのきかない美術部の部室で、机に顔を伏せていた。 少しひんやりする机は、なんだかすごく気持ちが良い。 「たまき、起きて。」 ふと、ひんやりしたハンカチが、頬に触れた。 「うひゃっ!」 あたしは慌てて起き上がり、目の前の人物に視線を向けた。 「し、しーちゃん!おはよう!」 「おはようじゃないよ!早く初める!」 彼女は、早川 栞。 彼女とは、高校に入学してから仲良くなった。