楓は自分の作りし結界に集中しながら、そして浄化させる符を放った雅人は、切印の更に強く組み、二人は祝詞を奏上し始めた。
二人の祝詞は符に自動的に言霊として届く。言霊の力を吸収し符は光を帯びていく。
その光が広がるにつれて、真理の動きは止まり、身を裂かれるほどの悲鳴を上げ続けている。
途中でやめるわけにはいかない。ここでやめたら、真理の命すらなくなる。
楓はただ、恨まれていても構わない。だから……。いつもの真理に戻ってほしいとだけ願いながら、奏上を続けた。
「今ならまだ間に合う……。闇に落ちてはいけないのよ真理!今すぐ戻って」
心の中で叫びながら、楓は祝詞の奏上を続けた。
「わ、わ……我……を……ふた……た……び、封印……すると……いうのか……」
途切れ途切れに聞こえる、絹のような滑らかさはもうない声は、断末魔の叫びと共に、天上へと黒い影が小さくなり飛び散った。
真理に貼りついた符は、はらりと落ち、楓の封印結界の符もスッと消え去った。
「やったの……?」
楓は疑いながら聞いた。
「あぁ……」
息を切らせながら雅人は答えた。
全身の力が抜けるような感覚に襲われたが、はたと真理のことを思い出した楓は、駆け寄った。
横たわった真理を抱き起し、何度も名を呼ぶと、薄らと瞼を開き
「か……えで……。ごめんね。私……楓みたいになりたいと……思った。そうしたら黒い何かが来て……。あと、あんまり覚えてないんだけど……ひどいこと……したよね……。私……。ご……めんね」
囁くような小さな声で真理は楓に謝っていた。
楓はその記憶を消すために真理に額に小さな五芒星を描き
「悪しき夢よ 現世から戻りし場へもどらんこと ゆめゆめことなかれ」
切印を額の五芒星の中心にポンと置くことで、悪しき夢、記憶を消去した。
楓の体が崩れ真理の体の上に乗りかかった。
「全く……相変わらず無茶をする……」
ふぅと長い溜息をついた雅人は、楓をおぶり、学園を後にした。
二人の祝詞は符に自動的に言霊として届く。言霊の力を吸収し符は光を帯びていく。
その光が広がるにつれて、真理の動きは止まり、身を裂かれるほどの悲鳴を上げ続けている。
途中でやめるわけにはいかない。ここでやめたら、真理の命すらなくなる。
楓はただ、恨まれていても構わない。だから……。いつもの真理に戻ってほしいとだけ願いながら、奏上を続けた。
「今ならまだ間に合う……。闇に落ちてはいけないのよ真理!今すぐ戻って」
心の中で叫びながら、楓は祝詞の奏上を続けた。
「わ、わ……我……を……ふた……た……び、封印……すると……いうのか……」
途切れ途切れに聞こえる、絹のような滑らかさはもうない声は、断末魔の叫びと共に、天上へと黒い影が小さくなり飛び散った。
真理に貼りついた符は、はらりと落ち、楓の封印結界の符もスッと消え去った。
「やったの……?」
楓は疑いながら聞いた。
「あぁ……」
息を切らせながら雅人は答えた。
全身の力が抜けるような感覚に襲われたが、はたと真理のことを思い出した楓は、駆け寄った。
横たわった真理を抱き起し、何度も名を呼ぶと、薄らと瞼を開き
「か……えで……。ごめんね。私……楓みたいになりたいと……思った。そうしたら黒い何かが来て……。あと、あんまり覚えてないんだけど……ひどいこと……したよね……。私……。ご……めんね」
囁くような小さな声で真理は楓に謝っていた。
楓はその記憶を消すために真理に額に小さな五芒星を描き
「悪しき夢よ 現世から戻りし場へもどらんこと ゆめゆめことなかれ」
切印を額の五芒星の中心にポンと置くことで、悪しき夢、記憶を消去した。
楓の体が崩れ真理の体の上に乗りかかった。
「全く……相変わらず無茶をする……」
ふぅと長い溜息をついた雅人は、楓をおぶり、学園を後にした。

