水ノ宮の陰陽師と巫女

飲み物を飲みながら、たわいのない話を佳織は始めた。

楓が休んでいた時の話だった。

真理は『うんうん』と相槌を打ちながら、ストローがついた飲み物を口に運んだ瞬間だった。

楓はゾクリとした感覚に襲われた。

邪気がどこからか出ようとした感覚だ。だが、この部屋は空間自体に邪気が発生させようとしても、一瞬にして消えてしまう。

何度かそんな邪気が出ようとしては消える感覚があった。

そんなたわいのない話と、数回の邪気が発生しようとしては消えるというのを佳織の部屋で体験し、少し疲れ気味になってきた。

そんな時真理が

「そろそろ帰るね。佳織、突然来てごめんね。それじゃ、また明日学校で」

と、言いながら佳織の家を後にした。

少しグッタリ気味の楓も、帰ろうとしたが、ふと脳裏によみがえったことがあり、佳織に訊ねた。

「霊符を貼った日から、佳織の部屋、今日まで他に誰か来た?」

と……。

両親は夜にいつも寝顔を見に来る程度と、昨日と今日が真理で、今日は楓と答えた。

「その他に来た人っていない?」

「うん……。それがどうしたの?」

「ううん、ちょっと気になっただけ。それに真理、何しに来たんだろうね。なんか押しかけ女房みたいに見えたけど」

と、クスッと笑いながら楓は言った。

それじゃぁといい、楓は佳織の家を後にし、家へ帰った。