水ノ宮の陰陽師と巫女

真理の押しかけに困った佳織は、楓の方を見て、

『どうしよう……』というような目で見つめている。

対する真理は、佳織と楓を交互に見ながら、

「佳織の部屋、昨日来た時、女の子らしくてかわいかったよね?また部屋見せてくれない?」

突然、楓の話から佳織の話へと変わった。

「え?今日も……?」

真理はうんと言うように頷いた。

困り果てた佳織は、深くため息をつき

「いいよ。上がって」

と、真理を家の中に入れ、楓にも一緒にいてくれと、頼みこみ、三人は佳織の部屋へと、もう一度行った。

部屋に入るなり真理は

「わぁー!やっぱり女の子らしくてかわいい~」

と、言い放ち、部屋のあちこちにある、ぬいぐるみやポスターなどを眺めまくった。

楓は、近くにあるクッションに座り、真理がキャッキャと騒ぐのを見ていた。

ほどなく真理も近くに座り、

「楓、病院行かなくていいの?」

突如、佐伯先生の言っていたことを言いだした。

「あぁ、うん、あとで行くから」

無感情に一言で答えた。

「ふぅーん」

と真理も無感情な返事をしてきた。

が……。真理の目線が上の方を向き、天井近くの角を見ているように見える。

なぜ結界を張った場所を見てるんだ?と、心の中で楓は声にした。

カチャっとドアが開き、佳織が飲み物とお菓子を持ってきた。

「佳織、なんか昨日と部屋の感じ、違う?」

突然真理の言った言葉に楓はドキッとした。

「え?何もいじってないけど、なんか昨日と違う?」

佳織も、結界を新しく張り直してもらったのを隠すのに、切り替えして真理に聞き返した。

「うーん……。なんか部屋の空気が違うというか、よくわかんないけど……」

楓は心底ドキドキする。できることなら今すぐこの空間から出たい!とすら思っている。だが、真理のことが気になり、その場を動けなかった。何を言い、何を感じ、何を見てるのかが気になって仕方なかったのだ。