水ノ宮の陰陽師と巫女

階段を下りながら、さっきの視線は気のせいだったのか？と疑いつつも、靴を履きかえていると、真理が佳織と話していた。

――真理……。家庭科の被服の時間、佳織のほか、真理だけが教室に残っていた。そして、現世に戻った時にヒソヒソと話しかけられ、放課後には使い古した道具を持ち帰ろうとした時も、被服室にいた。
そして、今、佳織と話していて、佳織の家に行っていいかと聞いている。

「真理、昨日も来たじゃん！今日は楓と話したいことがあるから、今度じゃだめなの？」

と、佳織が真理に話していた。

できれば結界を張るところは、佳織にすら見せるつもりもない状態で、真理まで来るとなると、厄介だなと思っていた。

佳織が断ろうとしても、真理はどうしてもと聞かないようで、佳織が楓の方を見て助けを求めてきた。

「真理、悪いけど今日は佳織と二人で話したいことがあるから遠慮してくれない？行こう、佳織」

靴を履き替え、すぐさま楓は玄関を出て校門の方へと歩き出していた。それを追うかのように佳織が、真理に謝りながら、楓を追いかけてきていた。

「ごめんね。楓、ありがとう」

「ううん。こっちも結界張るところは、そうそう誰かに見られるのって嫌だから。あんな態度取っちゃって、真理には悪いけど……」

そう言うと楓は無言になり、佳織の家へと急いでいた。

何かが胸騒ぎがして仕方ないのだ。佳織の部屋を見て見ないとという焦燥感に襲われ、歩みを早めていた。