水ノ宮の陰陽師と巫女

三人とも「うーむ」と深刻な真顔で考えている時に

「お父さん、楓、ごはんできましたよ。
――雅人君も一緒に食べて行ってね」

と、突然明るい父の夕飯の支度ができたという声で、三人の緊張感は一気に消え、おなかが正直に何か食べたいといわんばかりに鳴りだした。

テーブルに父の作った料理が並び始めた。

部屋を出てまだまだ持ってくるようだった。

「俊之、ご飯だから降りておいで!」

「はーい!」

俊之が部屋に入るなり

「雅兄ちゃん!来てたんだ!」

と、嬉しそうに雅人の隣に座りこんだ。

しかし雅人は、家族団らんを邪魔してはいけないと思い帰ろうとした時、

「大勢で食べるのがおいしいんだよ。おうちの方には電話しておくから。さぁ!遠慮しないで座って。座って!」

強引に父に引き留められ、食事をすることになった。

父と俊之は喜び、雅人のそばから離れようとはしなかった。

が……。楓の夕食は、まだ病み上がりということでお粥だった。これに反発した楓が

「お父さん~!私も普通にみんなと同じの食べたらダメなの?まだ」

「熱はもう下がっているからねぇ……」

と、楓の額の冷却シートをはがすなり、手のひらを当て、熱を計っていた。

「真志さん、楓も普通のおかずならいいじゃろう」

「そうですね。昨日一日何も食べてなかったですし」

父がそう言うと、楓用のおかずをお皿に盛ってくれた。

「おじいちゃん、お父さんありがとうー」

箸をつけてごはんを口にした楓は、一日ぶりの食事に堪能していた。