高らかな透き通るような声に少し怒りの重さを乗せた言葉が聞こえてきた。
それはさっきまでどこにもいなかった。
隣の家の木の枝に、突如とその者は音もなく現れた。
「ふーん。昨日、楓と一緒にいたヤツか。今日は楓はどうしたの?
――あっ!そっかぁ~。昨日私が仕掛けた術に腕、やられたんだもんねぇ。たぁーっぷり毒を塗っておいたから、そろそろ死んだかしら?」
ふふふっと笑い嬉しそうに昨日の少女らしき声の主は言った。
「なぜお前が楓のことを知っている!お前は一体何者なんだ!」
少し不気味さをはらみながら、軽快にクスクスと笑う声を聞く限りでは、少女としか思えないほど、かわいらしい声の主。
そして相反する楓に対しての殺意的な行動や言動を放つ者は、操り針子に指示を出している者で間違いはない。
だが、雅人の場所から、その少女らしき人物をも見ることができない。木の枝に、立ち幹に寄りかかりながらも木の葉で、上半身は隠れて、こちらから姿をうかがい知ることができない位置に立っている。
「主様ぁぁ!主様ぁぁ!」
操り針子は、歓喜したような声で、少女らしき者のそばに駆け寄った。
「全くお前は!またやられるところだったじゃないの!あんたの願いを叶えるために私の仕事してくれなきゃ困るのよ!」
「し、し……しかし結界に阻まれて……」
「そんなもん、そのうち解けるでしょ!あんたが殺されちゃこっちはやってらんないんだから。帰るわよ!」
雅人の問いには一切答えない『主と呼ばれる者』は、操り針子に消えられては困るといわんばかりに、連れ帰ろうとした。
「主様、でもあの者を殺さなくても……」
「いいのよ。あんなのほっといて。こっちの狙いは違うんだから。グズグズしないで帰るわよ!手間かけさせんじゃないわよ!」
「はい……主様……」
どうやら操り針子はあの『主と呼ばれる者』に忠誠なりをたてているらしい。だが、ここで逃がすわけには……。
と、自分の身を守っていた結界を解いた雅人は、二人のいる木の前まで歩み寄り静かな声で言った。
「なぜ楓を知っている!そしてお前たちの狙いはなんなんだ!」
『主と呼ばれる者』は雅人の方をチラリと目線をくべたが、ふっと笑うかのように、消え去った。
妖気をたどれば、アイツらのいる場所はわかる。だが……
――『今は正体がわからぬものと戦うことになる。深追いをする出ない。』
春治が雅人に言った言葉が不意に脳裏によみがえり、後を追うのを断念し、町中を一回りし他に妖がいないかをくまなく回り、家路へと戻った。
それはさっきまでどこにもいなかった。
隣の家の木の枝に、突如とその者は音もなく現れた。
「ふーん。昨日、楓と一緒にいたヤツか。今日は楓はどうしたの?
――あっ!そっかぁ~。昨日私が仕掛けた術に腕、やられたんだもんねぇ。たぁーっぷり毒を塗っておいたから、そろそろ死んだかしら?」
ふふふっと笑い嬉しそうに昨日の少女らしき声の主は言った。
「なぜお前が楓のことを知っている!お前は一体何者なんだ!」
少し不気味さをはらみながら、軽快にクスクスと笑う声を聞く限りでは、少女としか思えないほど、かわいらしい声の主。
そして相反する楓に対しての殺意的な行動や言動を放つ者は、操り針子に指示を出している者で間違いはない。
だが、雅人の場所から、その少女らしき人物をも見ることができない。木の枝に、立ち幹に寄りかかりながらも木の葉で、上半身は隠れて、こちらから姿をうかがい知ることができない位置に立っている。
「主様ぁぁ!主様ぁぁ!」
操り針子は、歓喜したような声で、少女らしき者のそばに駆け寄った。
「全くお前は!またやられるところだったじゃないの!あんたの願いを叶えるために私の仕事してくれなきゃ困るのよ!」
「し、し……しかし結界に阻まれて……」
「そんなもん、そのうち解けるでしょ!あんたが殺されちゃこっちはやってらんないんだから。帰るわよ!」
雅人の問いには一切答えない『主と呼ばれる者』は、操り針子に消えられては困るといわんばかりに、連れ帰ろうとした。
「主様、でもあの者を殺さなくても……」
「いいのよ。あんなのほっといて。こっちの狙いは違うんだから。グズグズしないで帰るわよ!手間かけさせんじゃないわよ!」
「はい……主様……」
どうやら操り針子はあの『主と呼ばれる者』に忠誠なりをたてているらしい。だが、ここで逃がすわけには……。
と、自分の身を守っていた結界を解いた雅人は、二人のいる木の前まで歩み寄り静かな声で言った。
「なぜ楓を知っている!そしてお前たちの狙いはなんなんだ!」
『主と呼ばれる者』は雅人の方をチラリと目線をくべたが、ふっと笑うかのように、消え去った。
妖気をたどれば、アイツらのいる場所はわかる。だが……
――『今は正体がわからぬものと戦うことになる。深追いをする出ない。』
春治が雅人に言った言葉が不意に脳裏によみがえり、後を追うのを断念し、町中を一回りし他に妖がいないかをくまなく回り、家路へと戻った。

