「里山公園」へと、着いた。

日中は舗装された遊歩道を健康のために歩く人や、芝生もあるから、子供を連れた主婦たちが集う場所でもある。

少し奥の方へ行くと、小さな森のようになっていて森林浴を楽しむ人も来るほどのきれいな公園だ。

夜は、学生のたまり場になるかもしれないということで、入口にはチェーンを取りつけていて、誰も立ち入りすることはない。

朝の5時から夜9時までこの公園のゲートは開かれているが、この時間はチェーンがかかっており、誰も入ることはない。

芝生や遊歩道をさけ、楓は小さな森の入り口の方で操り針子を待ち受けていた。


逃げ回った楓に対して怒り狂った操り針子は、

「おのれ……、ちょこまかと逃げ回って!」

苛立ちを隠すこともなく大声で叫んだ。

楓は一枚の符を取出し切印の間にはさみながら

「悪いけどここで、あなたを倒させてもらうわ!」

と、構えながら言い放った。

「我を倒すだと?小娘に何ができる!」

自分は絶対に倒されることはないという自信を持ちながら、キッと補足した目で楓を睨みつけた。

「悪しきものを祓い 百鬼妖魔退散させよ!急急如律令!」

操り針子の言葉を聞き流し、自信たっぷりと立ち止まっている妖に向かって符を放った。

ふん!と言わんばかりに、符をよけようとする物の怪、操り針子だが……。

「これしか力がないものに、我を倒すことはできん!」

と、自信たっぷりにくっくっくと笑いながら言っている。

だが……。

楓の放った符は、敵、妖怪、物の怪がよけたとしても自動的に軌道を修正し、滅するための呪文である。

よけられた符は急な円を描きながら、操り針子に向かっていく。