水ノ宮の陰陽師と巫女

「全くもう……」

いつも難題を吹っかけてきては私が困っているのを楽しんでるのか!?

ええ、一週間で操り針子を倒しますよ。倒せばいいんでしょう

ぶつぶつ独り言を言いながら巫女装束から着替えた。

「コツコツ」

「お姉ちゃん、ご飯だって。お父さんが早く来なさいって言ってるよ」

弟の俊之が夕飯を知らせに来た。

「うん、今行くって言っといて」

小学六年の俊之は今は、祖父に陰陽の術を習っている。兄の正之は家を出て今どこにいることやら……。

着替えを終えて、居間へと再び戻った。

祖父、父、俊之と私でテーブルにつき、夕飯に箸をつけた。

「ごちそうさま。――お父さん、少し寝たら出かけるから」

「楓、また行くのかい?女の子が夜遅くに出歩くのは……」

「大丈夫だって。装束着てたら、変なのが来るわけじゃなく逆に逃げるから」

あはははと、笑いながら言った。

「それにすぐ戻ってくるから、心配しなくても平気だから」

食器を重ねて持ち台所へ片付けるためテーブルを立った。