水ノ宮の陰陽師と巫女

「ただ……なんじゃ」

「何か目的を持って動いてる。主がどうのとか言ってたし、普通、妖とか物の怪って、自我しかないじゃない?思考なんてあるわけないでしょう?おかしいのよね。今回のは……。何かの為に動いてる……」

「そいつの正体は『操り針子』じゃな」

「おじいちゃん知ってるの?」

「それくらいはしっとる。教室に針はなかったか?」

――あぁーーーーーー!忘れてきた……。持ち帰るのを。真理が先客でいたため持ち出すのをすっかり忘れていた。

「バカモノが!」

「ひどおい!だけどきっちり封印はしたし、教室内に結界も張っては来たけど……」

「まぁよい。封印したのなら、明日にでもこっちへ持ってきた方が良いな」

コクリと頷き楓は聞いた。『操り針子』を

「それは、ケガをさせ、ケガをした部分に糸を仕込むんじゃ。仕込まれた糸は切れば、操られなくはなる。が、本体がある限り、いつでもまた操られる可能性はある。じゃが、ケガが治ればそれはできんがな。少し勉強不足すぎるぞ、楓は」

「そんなこと言ったって……」

「まぁ今日はそれなりによくやったということは褒めよう。じゃが、仕留めるまで、あと一週間しかない事忘れるでない」

へっ?と目を丸くした。

「何をそんな驚いてる。あの娘に渡したのはあくまでも期限付きじゃ。そこで改めんと」

って、そうじゃないでしょう!その一週間で私に対峙しろってことじゃない!内心、ムカムカとする遠回しなやり方……。祖父の嫌がらせなのか?といつも思うやり方なのだ。

「わかってます!どうせ私が悪いって言うんでしょう!ええ対峙しますとも。一週間以内に!」

売り言葉に買い言葉のように楓は言い返し、部屋へと着替えに行った。