水ノ宮の陰陽師と巫女

「全く未熟者め。今日対峙しておったじゃろうが!」

「おじいちゃん見てたの!?」

「見なくてもわかるわい!今日、西の方で空間がゆがんだのを感じたからの。西の方と言えばお前の学校がある所じゃろうが。まぁ異界か何かができたのは確かじゃな。一時ばかりじゃが」

いつもながら思う。祖父はタヌキなのか千里眼の持ち主なのか。

「まぁ、異空間に引き入れられたのは事実だけど……」

「なぜその時に、仕留めんかったのじゃ!」

大きな声で言われると、こちらも声が大きくなる。

「だって仕方ないでしょう!授業中だったんだし。それに毎晩探してみつからなかったんだし。異空間だとしても、相手に操られた状態なら、ケガさせてしまうじゃない!だったらどうしろって言うのよ!先にみんなを助ける方を選ぶのが当然でしょ!」

やることはやったとばかりに楓は突っぱねるように言いかえした。

「妖に操られるまで放っておいたお前が悪い!あの娘に渡したのは結界霊符じゃ」

「見ればわかるわよ!」

「で、相手はどんなんじゃったんだ?」

さっき佳織の話聞いてたのか?とイライラした気持ちを抑えながら

「銀色の長い髪に白い衣を着てたわよ。授業中、先生のそばから離れずピタリとくっついてて、先生に教えてもらう子たちはケガしてた。だから、それを確かめようと結界を張って一度先生から、引き離したわ。それで異空間に引き込まれたんだけど……」

「で?それからどうしたんじゃ」

矢継ぎ早に次を話せと言わんばかりに聞いてくる。

「異空間ならそいつと一対一で対峙できると思ったわよ。でもまさかケガした子たちまで異空間に引き込んでたなんて知らなくて。糸のようなもので、他の子たちを操って、攻撃してきたけど。操っていた糸は切ったわよ。ただ……」