少しの間、何も話さず歩いたが、突如すすり泣く声が隣から聞こえる。
ぐずっと鼻をすすり
「私があの時、針使ったからこんなことになったの? 楓の言った通り悪いこと起きたのって。ねえ! あの変な銀色の長い髪のってなに? 学園祭が終わったあの日から、夜、私のところに毎日来るの。怖いの。今日だって学校にいたし。ねえ、なんであんなのがいるの? 楓の忠告聞かなかったから? もうあんなの見たくないし怖いのも嫌! 助けてよ……楓……お願いだから……。」
ふぅと静かに息を吐いた。
「佳織、そんな前からそんな女見てたの?なんで今まで言わなかったの?」
「だって……。――楓に言われたのに針使っちゃったし、言えなかったんだもん……。」
私の言い方がきつすぎたのか?いや、そんなことはないだろう?言い争うのを回避して、それ以上言うのやめたんだし。だけど私のせいなのか?これは……。
納得いかない。なんか納得いかない。佳織の言い訳っぽいのが。
「それで、楓、お願いあるんだけど……。楓のおじいちゃん、お祓いしてくれるんだよね……。お母さんに相談したら、『お祓いしてもらいなさい』って言われて……。それで……それで……」
モジモジしながら続きを何を言っていいのかわからないようだった。
「はぁ……。わかった。今電話してみるから。ちょっと待って」
そう言ってカバンから携帯を取出し、家に電話した。
出たのは父だった。
「もしもし、お父さん?うん、私。あのね、おじいちゃん……いるかな……?」
「どうしたんだい?楓」
電話の向こう側から聞こえる父の声。心配そうな声で聞き返してきた。そりゃそうだ。楓が自分から家に電話をするなんてことはほぼ皆無と言っていいほどかけたことはない。時々、父からの電話で買い物を頼まれる時くらいに電話がかかってくるくらいなのだから。
「うん、おじいちゃんに、その……。お祓いお願いしたい人がいてね。それで電話したんだけど……」
「楓が電話してくるほどならよっぽどなんだね。そのお友達は。ちょっと待ってて、おじいちゃんにお父さんが聞いてくるから」
「うん……。」
そう言うと、父は祖父に訊ねに行ったのか電話から保留音が鳴っている。
だけどあの祖父が、『はい、そうですか』と、すぐにお祓いをしてくれるはずもない。嫌な役回りになってしまったと楓は後悔をしていたが、あの女を放っておけば、学園内を超えてどこまで被害が広がるかもわからない。今は祖父に嫌だが、少しだけちょっぴりだけ頼ろう……。
そんなことを頭で考えていると保留音が父の声に代わり、今日これからでもいいとの返事だった。
「え?お父さんそれ、本当なの?」
「うん、おじいちゃん、これから来てもいいって。早くお友達を連れて帰ってきなさい。楓も手伝わなきゃないんだから」
「はい。ありがとう、お父さん。すぐ帰るね」
携帯を切り、佳織に今日来てもいいことを伝えると、泣いていた顔に少し嬉しさの色がのったようだ。
二人は足早に楓の家である『水ノ宮神社』へと向かった。
ぐずっと鼻をすすり
「私があの時、針使ったからこんなことになったの? 楓の言った通り悪いこと起きたのって。ねえ! あの変な銀色の長い髪のってなに? 学園祭が終わったあの日から、夜、私のところに毎日来るの。怖いの。今日だって学校にいたし。ねえ、なんであんなのがいるの? 楓の忠告聞かなかったから? もうあんなの見たくないし怖いのも嫌! 助けてよ……楓……お願いだから……。」
ふぅと静かに息を吐いた。
「佳織、そんな前からそんな女見てたの?なんで今まで言わなかったの?」
「だって……。――楓に言われたのに針使っちゃったし、言えなかったんだもん……。」
私の言い方がきつすぎたのか?いや、そんなことはないだろう?言い争うのを回避して、それ以上言うのやめたんだし。だけど私のせいなのか?これは……。
納得いかない。なんか納得いかない。佳織の言い訳っぽいのが。
「それで、楓、お願いあるんだけど……。楓のおじいちゃん、お祓いしてくれるんだよね……。お母さんに相談したら、『お祓いしてもらいなさい』って言われて……。それで……それで……」
モジモジしながら続きを何を言っていいのかわからないようだった。
「はぁ……。わかった。今電話してみるから。ちょっと待って」
そう言ってカバンから携帯を取出し、家に電話した。
出たのは父だった。
「もしもし、お父さん?うん、私。あのね、おじいちゃん……いるかな……?」
「どうしたんだい?楓」
電話の向こう側から聞こえる父の声。心配そうな声で聞き返してきた。そりゃそうだ。楓が自分から家に電話をするなんてことはほぼ皆無と言っていいほどかけたことはない。時々、父からの電話で買い物を頼まれる時くらいに電話がかかってくるくらいなのだから。
「うん、おじいちゃんに、その……。お祓いお願いしたい人がいてね。それで電話したんだけど……」
「楓が電話してくるほどならよっぽどなんだね。そのお友達は。ちょっと待ってて、おじいちゃんにお父さんが聞いてくるから」
「うん……。」
そう言うと、父は祖父に訊ねに行ったのか電話から保留音が鳴っている。
だけどあの祖父が、『はい、そうですか』と、すぐにお祓いをしてくれるはずもない。嫌な役回りになってしまったと楓は後悔をしていたが、あの女を放っておけば、学園内を超えてどこまで被害が広がるかもわからない。今は祖父に嫌だが、少しだけちょっぴりだけ頼ろう……。
そんなことを頭で考えていると保留音が父の声に代わり、今日これからでもいいとの返事だった。
「え?お父さんそれ、本当なの?」
「うん、おじいちゃん、これから来てもいいって。早くお友達を連れて帰ってきなさい。楓も手伝わなきゃないんだから」
「はい。ありがとう、お父さん。すぐ帰るね」
携帯を切り、佳織に今日来てもいいことを伝えると、泣いていた顔に少し嬉しさの色がのったようだ。
二人は足早に楓の家である『水ノ宮神社』へと向かった。

