水ノ宮の陰陽師と巫女

足元を見た。落ちていたのは針だった。

ふと周りに倒れているクラスメイトを見て駆け寄って声をかけたが、返事がない。これ以上この場にいるのは、余計に一般人にとっては、身体にも心にも影響を受ける。

とにかくこの異空間から先に出なければいけなかった。

切印を組み、

「開けし現世に 切解」

唱えた瞬間、切印は異空間をスウッと切り裂き始めた。現世に戻ってきた。

操られていたクラスメイトは、そのまま気を失ったままだ。

「か……かえで……」

「ん?」

と振り向くと真理と佳織だった。

あの異空間でいなかったのはこの二人だったのかと、すぐに理解した。

先に言葉を発した佳織が

「あ、あのね…楓。いきなりみんなが」

「うん、わかってるから。それより、佳織……。誰か先生を読んできてくれる?あ、真理も一緒に……。ね」

「う、うん……。わかった」

そう言って、二人は被服室を出て行った。

「一体、何があったの、あなたたちが消えたところで」

そう真理はささやきながら教室を後に先生を呼びに行った。